2022年10月15日土曜日

退行欲求と歪んだ自己愛性の心理課題

 

人生という大きなスパンで見ていきましょう。


習慣化した強迫症状を見る限り、

非常に管理能力の高い人のように思います。

社会評価も高いです。

それが日本文化。


ただその『管理』が、

・退行欲求

・保護と甘えの欲求

このふたつを満たすための自己中心性からであった場合、

その『管理』は、

歪んだ自己愛性を満たす心理問題しかありません。


要注意です。


人生は、

この自己愛性の問題を片づけるためにあるのかもしれないと、

仕事をしていて思います。


心理学のなかで『中年の危機』といわれているものは、

もともと古来、

人生の羅針盤(ホロスコープ・占星術)のなかで扱われていたもの。

ちょうど42歳ごろに訪れるもので、

このころ幼少期から持ってきた価値観が、

社会生活を通して崩れ去り、

新たな自己価値観を創っていく通過儀礼として位置づけられてます。


避けては通れない人生サイクル。

成長のための大きなハードルなのですね。


中年の危機は『アイデンティティーの再形成・再確認』そのものです。

自己愛性の問題を片づけて、

やっと成熟したひとりの大人としても世に認められます。


この自己愛性の課題、

たとえば『就労』をしている人たちをよく視ると、

二つのパターンがあります。


ひとつは40代に入ると、

今までのような行動をとってもスムーズに事が運びません。

人間関係も、仕事の充実も、出世コースも、

想像通りになかなか運ばず、もどかしく感じています。

しかし、

その中で自己中心性(歪んだ自己愛)があることに気づき、

固執していた価値観を手放していき、一皮も二皮むけています。

強迫症状、優劣意識、競争意識などの存在に根本的に手をかけ、

改善する機会になってます。

その後は、

自己実現のための生活が早めに取り入れられるようになってます。


一見悪いことが起きているように見えますが、

人生スパンでみると早めの成熟なのです。


もう一つは、

40代に出世コースに乗っかっちゃった人。

こちらは自己愛性の問題が、

シニア以降にまで手がかからず持ちこされるのが自然。


社会的な富・名誉を得てしまうと自己愛性は強まるもの。

退職後、老後になってから、

その根本的な問題がやっと浮上してきています。


社会評価ではいいことづくめのように見えますが、

人生スパンでみると精神的に成熟するのはずっと後。


人はどちらかになるのだろうと思います。

どちらかのコースで成熟すればいいだけです。


人の人生は、

まず自我をつくって、

その自我でたくさんの出来事を経験します。

数えきれない苦楽の経験の中で、

自己中心性とは何かをひとつひとつ学びとって行き、

本当に必要な『自分』を選び取れればいいですね。


成熟した自分とは、

自我の行いを熟知していて、

その行いそのものをもうすることもない状態。


心に生まれる幼い欲求や感情に、振り回されないような大人になる。

大きな人生目標です。


そうなれた者同士で余生を穏やかに生きられたら、

これほど素敵なことはないですね。



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