2023年4月25日火曜日

自己愛の欠如の問題は 乳児期と青年期の二重構造です

 

心理発達論のなかでご紹介した自己愛の欠如は、

乳児期に育成する必要があるもので、

それを『素朴な自己愛』ともいいます。


無条件で「あなたのことを大切に思っているよ」と対応をされることで、

「自分は愛されている大切な存在なんだ!」と確信する内容です。

とっても素朴。

それが心にくっついて、

疑いもなく、

いつでも自分で自分を大切にできるという内容になります。


これがないと、

その人が持っている自己愛は『条件付きの自己愛』というものになります。


乳児期の記憶はおそらくなくても、

幼児期の記憶なら覚えている人も多いもので、

その当時の記憶がほぼ、

何かが出来ているから愛されるというようなものです。


素朴な自己愛の存在はなくとも、

なんとかかんとか出来て褒められている体験があるから、

愛されているのだろうという感覚は残っています。


’条件付き自己愛’の経験がその後も続き、

学童期以降も、

成績、進学、就労、恋愛、結婚とすすみ、

自己確信が曖昧ながらでも50代60代になれます。

この状況をコーピングといいます。


この状況は、

青年期の自己愛の問題、愛着欲求の問題を片づけてないことが多いです。


以下の問題が残っています。


・友人知人のなかで等身大の自分像を掴んでないことが多い

・周りから与えられる『べき』で価値観ができている

・等身大の自分よりも、気に入っている部分で構成している自我理想を自分だと思っている

・ファンタジックな自我理想像を信じて、人や職場となんとか関係を結んでいる

・個人の主体的な倫理観を持っていない

・等身大の自己を試す体験や失望から上昇する体験を一度も経験していない

・問題に直面したとき、自我理想にしがみついて現実の自分を受け入れず抑うつが続く


ざっとこんな感じです。


青年期の自己愛形成は、

周りから与えられている価値観を払拭し、

体験からたとえ気に入らない自分に出会っても、

それを受け止め自己確立の材料とし、

等身大の自分を拠り所としていける愛着形成に変わっていないといけません。


私たちは一人の人間として、

ようやく心理的自立や精神的自立がなされ、

等身大の自分の能力に見合った職業や職場、

人間関係を選んで活用していけるようになります。




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